小説
冷蔵庫に、七、八人前はあるお刺身の盛り合わせを入れながら、 (やっぱり、三人前で注文すれば良かったかな⁉) と、思わずにはいられない雪也だった。 何故なら、薫の母親に教えてもらった魚屋に行ったのだが、其処は、部活 の後輩(女子)の子の親が営んで…
斎 薫(いつき かおる) 学年クラス…中3 / B組 誕 生 日…10月10日 血 液 型…AB型 身 長…155㎝ 部 活…合気道部 漫研部 趣 味…妄想(主にBL) 好きな食べ物…甘いもの 苦手な食べ物…セロリ ピーマン 得 意 な 事…お絵かき 苦 手 な 事…料理 家 族 構 成…父 母 …
各務 涼介が支社長室に入ると、携帯電話をしている相馬の姿があった。 「はい。それは此方で用意するので…」 『そう⁉ それじゃあ、お願いね』 「はい。…すみません」 『あら、何を謝っているのかしら⁉』 「…お母さんにばかり、嫌われ役やらせてしまって」 …
結局のところ、嫌というほど分かった事は、誰にも白藤部長を止める事は 出来ない!という事実だけだった。 聞けば、神谷、仙石、白藤の先輩達は一年からずっと同じクラスで、壁ド ン、机ドン等は日常茶飯事だと言う。 仙石先輩に至っては、白藤部長に机ドン…
そして始まる写生会。 死んだ目をしたまま、リクエストされた壁ドンポーズをとる雪也と月也。 さらに細かい注文が入る。 『奏君、左手で葵君に顎クイして♡ そして、目線は斜め後ろで!』 『葵君は、唇を少し開けて♡ 目を潤ませながら、奏君を見つめて♡』 『…
奏 月也(かなで つきや) 学年クラス……中3 / B組 誕 生 日……10月10日 血 液 型……O型 身 長……168㎝ 部 活……合気道部 趣 味……パズル 謎解き 得 意 科 目……数学 理科 苦 手 科 目……国語 好きな食べ物……肉料理全般 苦手な食べ物……特に無し 得 意 な 事……すぐ…
期末の定期試験が終わり、結果はまだ出ていないものの、後は夏休みを待 つばかりとなったある日の昼休み。 前回の事を踏まえ、学習した雪也と月也は、漫研の部長に掴まらないよう にグラウンドに出て、同じクラスの男子達と、サッカーの真似事をして遊 んで…
部室へと向かう廊下を歩いていると、後方からパタパタと走って来る足音 が聞こえた。と同時に、 「雪ちゃん、月也、待って~。置いて行くなんて酷い!」 の声。 月也と雪也は立ち止まり、振り返る。見ると、道着に着替えた薫がポニー テールを揺らしながら…
放課後、合気道部の男子更衣室。 雪也と月也は、制服から道衣に着替えていた。既に一級を取得している二 人の帯の色は茶色だ。 因みに薫も一級を取得している。武闘派腐女子だ! 「大体さぁ、小テストで長文問題出すって有り得ないよなぁ!普通、漢字の 読…
昼休みが終わり、五時限目の授業で国語の小テストを受ける雪也達。 国語の苦手な月也は、早くも苦戦していた。 “この時の作者の気持ちは?” という問題に対し、月也の答えはというと、 (知るかそんなの!『締め切りマジでヤベェ!』じゃねぇのか⁉) という…
相馬のマンションに移ってから、昨夜までの事を思い出していた雪也。 月也を安心させられたのは良かったが、雪也自身は、度々 “貞操の危機” に 晒されている。が、流石にそこまで話してはいない。 せっかく安心して『良かった』と言ってもらえたのに、話し…
葵 雪也(あおい ゆきや) 学年クラス……中3 / B組 誕 生 日……10月10日 血 液 型……AB型 身 長……165㎝ 部 活……合気道部 趣 味……合気道 得 意 科 目……数学 英語 美術 苦 手 科 目……音楽 好きな食べ物……和食全般 具沢山ポテトサラダ 苦手な食べ物……セロリ 得 …
相馬と雪也のLINEの遣り取りに、呆れる涼介。主に相馬に対してだが。 「ウザいってなんだ、 これ位普通だろ⁉」 「普通じゃないだろ。大体『可愛い』とか言われても、嬉しくないし」 「僕、涼介の事『可愛い』なんて0.1ミリも思ってないよ?」 「当たり前だ…
嫁好きを拗らせている久遠専務に言われ、取り敢えず相馬の元に向かった 涼介。 相馬の落ち着きがない原因など、一つしかない。雪也の事だ! 支社長室に着き、扉を二回ノックする。 「失礼します」 その声に怒気を感じることはなく、静かだ。 扉を開けて入室…
「各務君、ちょっといいかな?」 相馬が雪也に携帯を渡してから一週間程過ぎた頃、会社の廊下で専務に呼 止められた涼介。 「久遠専務…、はい、何でしょうか?」 久遠は、年の頃は五十代前半で、なかなかの切れ者だ。本来ならば、本社 の重役になっていても…
雪也が相馬のマンションへ引っ越して二、三日経った頃、相馬から新品の スマホを渡された。 「雪ちゃん、コレ持ってて」 「携帯…ですか」 「そう、雪ちゃん持ってなかったよね。今時の小学生だって、持ち歩いてる っていうのに」 「すみません。今迄、必要…
ある日、雪也は晩ご飯の席で、相馬と涼介に出会った時から気になってい た事を聞いた。 それは、二人の関係性だ。涼介の相馬に対する態度や言葉使いは、どう見 ても上司と部下という感じではない。 では恋人同士なのかというと、そうでもないらしい。そもそ…
相馬のマンションに移り、数日が過ぎた。 その間もいろんな出来事があった。例えば、体力テストの日の朝、朝食の 席で雪也がいつもの制服ではなく、ジャージ姿に気付いた相馬は理由を聞 いてきたので話すと、会社を休んで学校に行くと言い出した。 「僕がい…
荷物の運び入れや買い出しがひと通り終わり、一息つく雪也。 と、そこへ涼介が言った。 「もうこんな時間か。腹減ったな、飯にしようぜ」 「そうだな、食べに行くか。雪ちゃん、何が食べたい?」 「…えっと、簡単なモノで良ければ、俺作りますけど」 先程の…
とりあえず、身の危険は無くなった雪也だが、相馬との攻防戦で、激しく 気力、体力共に消耗させられていた。 (合気道の試合でも、昇級試験でも、こんなに疲れること無かったのに…。 何だろう、このもの凄い精神的ダメージは) はぁ~、と大きな溜息が漏れ…
話を逸らして、誤魔化す気なのかと思ったが、どうやら違ったらしい。 逃げねば!… だが、どうやって? あっさりと捕獲された雪也は、自分の 迂闊さを呪った。 「あの、相馬さん」 「何? 雪ちゃん♡」 「俺にはまだ早いと思います」 「そんな事ないよ。僕の…
あからさまに離れていく雪也に、相馬はショックを隠し切れず訴えた。 「雪ちゃん、君、僕の事 “男なら見境なく襲う奴” だと思っているでしょ? それ誤解だから」 「あっ、そうですよね。相馬さんなら相手に困る事なんて無いですよね。何 か…すみません、不…
涼介の話と蒼子の言葉に、雪也の脳内は絶賛修羅場中。 しかし悪い事ばかりでは無かった。 例えば報酬金額、月五千円でいいと言う雪也に、相馬と涼介は、それでは 少なすぎると、家事全般に対する妥当な金額を提示してきた。 提示された金額は、子供の雪也に…
涼介の、衝撃告白第2弾を受けた雪也。 「……………………………………………………はい? え、つまり…⁉ 相馬 さんは、ホ○⁉」 「正解~、だから雪也君、君もしっかり自衛して!」 「でも、俺が此処に来たのは、住込みのバイトの為で、相馬さんにも恋愛感 情的なものは一切ない…
涼介の衝撃告白の後、リビングに移動した三人。 雪也と相馬の、廊下での出来事を聞いた涼介は言った。 「はぁ~、なるほどね。その遣り取りの真っ最中に俺が割って入った、て事 か。でも雪也君、雪也君には悪いけど、俺も相馬の言う通りだと思う」 「…そう…
涼介の蹴りを、間一髪のところで躱した相馬は、勢い余って向かいの壁に 頭を強か打ちつけ、余りの痛さに両手で頭を抱えてしゃがみ込む。 「ヒドい!涼介」 「黙れ、変態!年端もいかない、こんな小さな子に何するつもりだったんだ このケダモノ犯罪者、変質…
取りあえずの片付けが終わり、綺麗になったリビングで、雪也と相馬の 話合いが始まる。 「給食費って、今ひと月いくら?」 「五千円です」 雪也の答えに相馬は、うなづき、何か考えている様だった。が、突然雪也 ににっこりと笑いかけながら言った。 「とこ…
ゴールデンウィーク前日、学校の休み時間、雪也が日直日誌を書いている と、月也が声をかけてきた。 「雪也」 「ん~⁉ 何」 返事しながらも、書き込み続ける。つい先日まで、少し硬い表情ばかり浮 べていた雪也が、今は前より少し柔らかくなった気がする。 …
相馬の言葉に、雪也は顔を上げ聞いた。 「相馬さんの会社に、俺を雇って貰えるって事ですか?」 「まさか! そんな事したら、労働法違反で僕犯罪者になっちゃうから。 それは無理!」 「えっ? え、それじゃあ…」 「うん、だから僕と個人契約して、住込みで…
夕食後の応接間。藤堂と荘子、雪也の三人で、給食費について話し合う 事になった。 お金の出費に関しては、雪也の想像した通り“保護者の義務”を持ち出して きたが、ここで引き下がる訳にはいかないので、正直に話した。 “義務”など感じて貰いたくない事と、…