雪也と相馬そして涼介

     涼介の蹴りを、間一髪のところで躱した相馬は、勢い余って向かいの壁に

    頭を強か打ちつけ、余りの痛さに両手で頭を抱えてしゃがみ込む。

 「ヒドい!涼介」

 「黙れ、変態!年端もいかない、こんな小さな子に何するつもりだったんだ

    このケダモノ犯罪者、変質者、ショタコン野郎、シネ!!!!!!」

    相馬の抗議に、にべもなく罵声を浴びせ、雪也を見る。

 「ゴメンね。怖かったよね!もう大丈夫だから、安心して」

 (誰? てか、『小さな子』って俺のこと⁉ 相馬さんがショタコン⁉ でも俺

    十四…そもそもショタって何歳まで?いや違う!しっかりしろ俺。えっと

    …つまり…???????????????)

    頭の整理がつかない雪也に、涼介は自己紹介して来た。

 「驚かせてゴメンね。俺の名前は、各務 涼介と言います。この変態…じゃな

    くて相馬の秘書を務めています。水瓶座、AB型の二十九歳、独身です!

    因みに、可愛い彼女持ちです♡ …が、ここ最近デートも儘ならず、約束し

    していても直前でドタキャン&会って十分もしないうちに会社から呼び出

    し食らうとか……、彼女からいつ別れを切り出されるかと思うと、不安で

    夜も眠れない………………………、うぅっ、別れたくないよーーーーー」

    大人対応からの惚気話、かと思ったら修羅場だった。

    涙目で絶叫する涼介を見て、大人って大変なんだな、と思う雪也だった。