2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

雪也と相馬そして涼介~4

涼介の話と蒼子の言葉に、雪也の脳内は絶賛修羅場中。 しかし悪い事ばかりでは無かった。 例えば報酬金額、月五千円でいいと言う雪也に、相馬と涼介は、それでは 少なすぎると、家事全般に対する妥当な金額を提示してきた。 提示された金額は、子供の雪也に…

雪也と相馬そして涼介~3

涼介の、衝撃告白第2弾を受けた雪也。 「……………………………………………………はい? え、つまり…⁉ 相馬 さんは、ホ○⁉」 「正解~、だから雪也君、君もしっかり自衛して!」 「でも、俺が此処に来たのは、住込みのバイトの為で、相馬さんにも恋愛感 情的なものは一切ない…

雪也と相馬そして涼介~2

涼介の衝撃告白の後、リビングに移動した三人。 雪也と相馬の、廊下での出来事を聞いた涼介は言った。 「はぁ~、なるほどね。その遣り取りの真っ最中に俺が割って入った、て事 か。でも雪也君、雪也君には悪いけど、俺も相馬の言う通りだと思う」 「…そう…

雪也と相馬そして涼介

涼介の蹴りを、間一髪のところで躱した相馬は、勢い余って向かいの壁に 頭を強か打ちつけ、余りの痛さに両手で頭を抱えてしゃがみ込む。 「ヒドい!涼介」 「黙れ、変態!年端もいかない、こんな小さな子に何するつもりだったんだ このケダモノ犯罪者、変質…

雪也と相馬~5

取りあえずの片付けが終わり、綺麗になったリビングで、雪也と相馬の 話合いが始まる。 「給食費って、今ひと月いくら?」 「五千円です」 雪也の答えに相馬は、うなづき、何か考えている様だった。が、突然雪也 ににっこりと笑いかけながら言った。 「とこ…

雪也と相馬~4

ゴールデンウィーク前日、学校の休み時間、雪也が日直日誌を書いている と、月也が声をかけてきた。 「雪也」 「ん~⁉ 何」 返事しながらも、書き込み続ける。つい先日まで、少し硬い表情ばかり浮 べていた雪也が、今は前より少し柔らかくなった気がする。 …

雪也と相馬~3

相馬の言葉に、雪也は顔を上げ聞いた。 「相馬さんの会社に、俺を雇って貰えるって事ですか?」 「まさか! そんな事したら、労働法違反で僕犯罪者になっちゃうから。 それは無理!」 「えっ? え、それじゃあ…」 「うん、だから僕と個人契約して、住込みで…

雪也と相馬~2

夕食後の応接間。藤堂と荘子、雪也の三人で、給食費について話し合う 事になった。 お金の出費に関しては、雪也の想像した通り“保護者の義務”を持ち出して きたが、ここで引き下がる訳にはいかないので、正直に話した。 “義務”など感じて貰いたくない事と、…

雪也と相馬

金曜日の朝六時、雪也は家政婦の とわ子さんと共に、藤堂家のキッチンに 立っていた。 前に住んでいたアパートと違って、藤堂家から学校まで距離があり、自転 車でも六時三十分くらいには家を出ないと、部活の朝練に間に合わない からだ。 とわ子さんは、一…

雪也 月也 薫~5

三分後、薫の脳内羞恥プレイから解放された雪也が、無事生還。 尚、竹井先生に至っては、まだ回復の兆しが見えないもよう。 それもそのはず、普段から薫のBL話や薄い本の強制読書を強いられ、免疫 のある雪也でさえ、耐え難い事だったのに、普通の一般人に…

雪也 月也 薫~4

雪也に叩かれた薫は、不満気に言う。 「雪ちゃんヒドい!」 「酷いのはどっちだ。勝手に人をホモにすんな!」 「ホモではなく、ボーイズ ラブ です♡」 「ヤッてることは同じだろうが」 「雪ちゃん、キレイな顔で下品な…、私の中での雪ちゃんは『受け』一択…

雪也 月也 薫~3

雪也と月也、そして薫の三人は、担任の竹井を一斉に見た。 「先生! いつの間に…てか、どこから聞いていたんですか?」 自分のBL妄想全開しているところを、見られた薫は、驚いて聞いた。 竹井先生は、少し答えずらそうに、答えた。 「…その青年教師は前々…

雪也 月也 薫~2

放課後、雪也と月也、薫の三人はまだ教室にいた。 担任の竹井先生から、話があるから、と言われたからだ。とはいえ、残る ように言われたのは雪也だけだったのだが、他の二人も雪也を心配して 一緒に残ってくれていた。 「先生、雪也に話って何かな?」 月…

雪也 月也 薫

始業式が終わり、皆それぞれの教室へと向かう。 雪也も今日から中学三年生になった。とはいっても、雪也の学校では、 二年から三年になる時はクラス替えがないので、三年生の生徒達は他の 学年に比べ、何となくダラけた印象を受ける。 教室に入り、空いてい…

藤堂家の雪也

藤堂の邸に移って約一ヶ月が過ぎた。 しかし、雪也にとって藤堂邸は、お世辞にも『居心地のいい場所』とは言 えなかった。 それもそのはず、藤堂の妻と娘から見て、雪也は『愛人の子』だ。 つまり、厄介者でしかない。 非難や罵声を浴びせられることはなか…

母の死~3

四月上旬、雪也は藤堂家にいた。 『また来る』その言葉通り、三日後に藤堂は、雪也の前に現れた。 ただ、先日とは大分様子が違っていた。 藤堂が引き連れて来たのは、役所や学校関係者、母の会社の人達、専門 業者だった。 何故彼等なのかというと、雪也を…

母の死~2

『雪也、君は私の子だ』 「……は?」 突然、予期せぬ言葉を投げかけられ、雪也は一瞬固まった。 それもその筈。母から聞いた話では、父親は、自分がまだお腹の中にいる 時に、事故死したと聞いていたからだ。 「あの、何かの間違いではありませんか? 俺の父…

母との別れ

自分を慈しんでくれた、最愛の母が逝ってしまった。 雪也14歳、2月もあと5日を残すのみとなった日の事だった。 1年のうちで、最も寒い月にも関わらず、その日はもう春を思わせる ような暖かさだ。 まるで、雪也がこれ以上辛い思いをしないようにと、母自身…