2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧
涼介の話と蒼子の言葉に、雪也の脳内は絶賛修羅場中。 しかし悪い事ばかりでは無かった。 例えば報酬金額、月五千円でいいと言う雪也に、相馬と涼介は、それでは 少なすぎると、家事全般に対する妥当な金額を提示してきた。 提示された金額は、子供の雪也に…
涼介の、衝撃告白第2弾を受けた雪也。 「……………………………………………………はい? え、つまり…⁉ 相馬 さんは、ホ○⁉」 「正解~、だから雪也君、君もしっかり自衛して!」 「でも、俺が此処に来たのは、住込みのバイトの為で、相馬さんにも恋愛感 情的なものは一切ない…
涼介の衝撃告白の後、リビングに移動した三人。 雪也と相馬の、廊下での出来事を聞いた涼介は言った。 「はぁ~、なるほどね。その遣り取りの真っ最中に俺が割って入った、て事 か。でも雪也君、雪也君には悪いけど、俺も相馬の言う通りだと思う」 「…そう…
涼介の蹴りを、間一髪のところで躱した相馬は、勢い余って向かいの壁に 頭を強か打ちつけ、余りの痛さに両手で頭を抱えてしゃがみ込む。 「ヒドい!涼介」 「黙れ、変態!年端もいかない、こんな小さな子に何するつもりだったんだ このケダモノ犯罪者、変質…
取りあえずの片付けが終わり、綺麗になったリビングで、雪也と相馬の 話合いが始まる。 「給食費って、今ひと月いくら?」 「五千円です」 雪也の答えに相馬は、うなづき、何か考えている様だった。が、突然雪也 ににっこりと笑いかけながら言った。 「とこ…
ゴールデンウィーク前日、学校の休み時間、雪也が日直日誌を書いている と、月也が声をかけてきた。 「雪也」 「ん~⁉ 何」 返事しながらも、書き込み続ける。つい先日まで、少し硬い表情ばかり浮 べていた雪也が、今は前より少し柔らかくなった気がする。 …
相馬の言葉に、雪也は顔を上げ聞いた。 「相馬さんの会社に、俺を雇って貰えるって事ですか?」 「まさか! そんな事したら、労働法違反で僕犯罪者になっちゃうから。 それは無理!」 「えっ? え、それじゃあ…」 「うん、だから僕と個人契約して、住込みで…
夕食後の応接間。藤堂と荘子、雪也の三人で、給食費について話し合う 事になった。 お金の出費に関しては、雪也の想像した通り“保護者の義務”を持ち出して きたが、ここで引き下がる訳にはいかないので、正直に話した。 “義務”など感じて貰いたくない事と、…
金曜日の朝六時、雪也は家政婦の とわ子さんと共に、藤堂家のキッチンに 立っていた。 前に住んでいたアパートと違って、藤堂家から学校まで距離があり、自転 車でも六時三十分くらいには家を出ないと、部活の朝練に間に合わない からだ。 とわ子さんは、一…
三分後、薫の脳内羞恥プレイから解放された雪也が、無事生還。 尚、竹井先生に至っては、まだ回復の兆しが見えないもよう。 それもそのはず、普段から薫のBL話や薄い本の強制読書を強いられ、免疫 のある雪也でさえ、耐え難い事だったのに、普通の一般人に…
雪也に叩かれた薫は、不満気に言う。 「雪ちゃんヒドい!」 「酷いのはどっちだ。勝手に人をホモにすんな!」 「ホモではなく、ボーイズ ラブ です♡」 「ヤッてることは同じだろうが」 「雪ちゃん、キレイな顔で下品な…、私の中での雪ちゃんは『受け』一択…
雪也と月也、そして薫の三人は、担任の竹井を一斉に見た。 「先生! いつの間に…てか、どこから聞いていたんですか?」 自分のBL妄想全開しているところを、見られた薫は、驚いて聞いた。 竹井先生は、少し答えずらそうに、答えた。 「…その青年教師は前々…
放課後、雪也と月也、薫の三人はまだ教室にいた。 担任の竹井先生から、話があるから、と言われたからだ。とはいえ、残る ように言われたのは雪也だけだったのだが、他の二人も雪也を心配して 一緒に残ってくれていた。 「先生、雪也に話って何かな?」 月…
始業式が終わり、皆それぞれの教室へと向かう。 雪也も今日から中学三年生になった。とはいっても、雪也の学校では、 二年から三年になる時はクラス替えがないので、三年生の生徒達は他の 学年に比べ、何となくダラけた印象を受ける。 教室に入り、空いてい…
藤堂の邸に移って約一ヶ月が過ぎた。 しかし、雪也にとって藤堂邸は、お世辞にも『居心地のいい場所』とは言 えなかった。 それもそのはず、藤堂の妻と娘から見て、雪也は『愛人の子』だ。 つまり、厄介者でしかない。 非難や罵声を浴びせられることはなか…
四月上旬、雪也は藤堂家にいた。 『また来る』その言葉通り、三日後に藤堂は、雪也の前に現れた。 ただ、先日とは大分様子が違っていた。 藤堂が引き連れて来たのは、役所や学校関係者、母の会社の人達、専門 業者だった。 何故彼等なのかというと、雪也を…
『雪也、君は私の子だ』 「……は?」 突然、予期せぬ言葉を投げかけられ、雪也は一瞬固まった。 それもその筈。母から聞いた話では、父親は、自分がまだお腹の中にいる 時に、事故死したと聞いていたからだ。 「あの、何かの間違いではありませんか? 俺の父…
自分を慈しんでくれた、最愛の母が逝ってしまった。 雪也14歳、2月もあと5日を残すのみとなった日の事だった。 1年のうちで、最も寒い月にも関わらず、その日はもう春を思わせる ような暖かさだ。 まるで、雪也がこれ以上辛い思いをしないようにと、母自身…