雪也 月也 薫~5

     三分後、薫の脳内羞恥プレイから解放された雪也が、無事生還。

    尚、竹井先生に至っては、まだ回復の兆しが見えないもよう。

    それもそのはず、普段から薫のBL話や薄い本の強制読書を強いられ、免疫

    のある雪也でさえ、耐え難い事だったのに、普通の一般人には少々、いや

    大惨事的な案件だったに違いない。

    それにしても、と雪也は思い、薫に言う。

 「おい薫、今度俺の体使ってエロい妄想してみろ。その時はお前の部屋に

    あるお宝(薄い本)、全部燃やしてやるからな!」

 「鬼!悪魔!人で無し!鬼畜の所業! 月也、雪ちゃんに言ってやってよ!」

    雪也に脅された薫は、月也に助けを求める。が、しかし、

 「お前が悪い!」

    と、一蹴され、シュンとして考え込むようにしている。

    しょんぼりしている薫の姿を見ると、ちょっときつく言い過ぎかな、と

    雪也も少し反省する。雪ちゃん、と呼ばれ顔を向ける。

    すると、切なげな表情で薫が言った。

 「……やっぱり相手は、もっとイケメンの方がいいよね⁉」

 「………………………は? お前、何言って…」

 「いいの‼ 分かってるから! そうだよね、竹井先生じゃ釣り合わないよね

    先生、ブサメンではないけど、イケメンでもない本当十人並みだもんね‼

    職業と年の差という点では理想的なんだけど、顔面偏差値の高い雪ちゃん

    の相手としては、私もどうかと思ったんだけど、しかもそれが大切な初め

    てを捧げる相手なら、やっぱりもっとハイスペックで顔も文句無しの…」

 「待て待て待て待て!何をどうしたらその答えになる⁉ 薫、お前俺の言った

    事、全く聞いてないだろ!」

 「しかも、サラッと担任disってるし…」

 「…知ってた ハイ 知ってた。ハイスペックでもない、十人並みの俺が結婚

    出来たのは、奇跡だって…」

 「「先生…」」

    やっと戻ってきたと思ったら、またすぐ落とされるという、気の毒な担任

    に、雪也と月也はかける言葉が見つからなかった。