雪也 月也 薫~4

     雪也に叩かれた薫は、不満気に言う。

 「雪ちゃんヒドい!」

 「酷いのはどっちだ。勝手に人をホモにすんな!」

 「ホモではなく、ボーイズ ラブ です♡」

 「ヤッてることは同じだろうが」

 「雪ちゃん、キレイな顔で下品な…、私の中での雪ちゃんは『受け』一択な

    のに、現実の雪ちゃんは乱暴な『攻め』発言多すぎ、何でこんな風になっ

    てしまったのかしら?」

 「お前のせいだよ! というか、『受け』一択って何だよ、ヤメロ‼」

    薫の、妙に芝居がかった腐女子発言をバッサリ切り捨てる雪也。

 「あっ、でも普段の雪ちゃんと、ベッドでだけ見せる可愛い雪ちゃん、その

    ギャップがたまらん‼ 見たい! そしてこの目に焼き付けたい!!!!!

    何処に行けば観られますか?」

 「見せないし、焼き付け無くていい‼」

    もはや開き直って、腐女子っぷりを披露する薫。律儀にツッコミを入れる

    雪也。

 「受け? 攻め? て何? 斎」

    腐女子の存在は知っていても、BL用語までは知らない竹井先生は、薫に

    問いかける。

 「あ、先生 やめたほうがい」

 「何 なに ナニ⁉ 先生も興味あるの⁉ イイよ~、何でも聞いて!」

    担任を止めようとした月也の言葉を遮り、押し除け、薫は身を乗り出し

    続ける。

 「まず『受け』というのは、受け入れる側の事を言います」

 「受け入れるって何を? あっ!相手の想いって事か⁉」

 「そう‼ 心も体も受け入れて、一つになるのです♡」

 「え、ちょっと、えっ? 待って? 体⁉ 一つになる? 何を⁉」

 「ナニを‼ じゅるり、あ、失礼、ヨダレが♡」

    薫はご機嫌でハンカチを取り出し、フキフキすると続けた。

 「そして『攻め』、これは言わずもがな突っ込む側です。これが竹井先生

    です。つまり! 竹×雪という訳です‼」

 「ゴメン、斎。日本語で頼む」

 「だからですね~、まだ誰にも触れられたことのない雪ちゃんの体を、竹井

    先生が散々弄りまくりのイカせまくりで翻弄させて、息も絶え絶えの雪ち

    ゃんの♡♡♡に、先生の♤♤♤した♤♤♤を挿れイタイ‼」

 「やめてやれ、そしてよく見ろ! 屍を二つも作る気か⁉」

    月也に拳骨を落とされ、薫が視線を向けた先には、両手で顔を覆って項垂

    れている雪也と、口から魂が抜けそうになっている竹井先生の姿が見えた

    のだった。