雪也 月也 薫~2

      放課後、雪也と月也、薫の三人はまだ教室にいた。

    担任の竹井先生から、話があるから、と言われたからだ。とはいえ、残る

    ように言われたのは雪也だけだったのだが、他の二人も雪也を心配して

    一緒に残ってくれていた。

 「先生、雪也に話って何かな?」

    月也が、机に浅く腰掛けながら言った。

 「放課後、人気のない教室、物憂げな美少年の生徒、そして熱き青年教師と

    きたら、それは!」

 「何だ⁉ 熱血マンガか感動物語の始まりか?」

    興奮した様子で話す薫の言葉を遮り、月也が呆れた口調で聞いた。

 「は? バカなの? 愛の告白に決まってるでしょ」

    薫はドヤ顔で言い放つ。それに対して、

 「「 はっ⁇ 」」雪也と月也の声が重なる。

 「「 え、なんで 」」

    またもや重なる。が、二人を無視して薫は、熱く語りだす。

 「当たり前でしょ。自覚ないみたいだけど、雪ちゃんの顔、すごく整ってる

    し、色白でお肌もスベスベ…ズルい‼ 羨ましい‼ 嫉妬するわぁ‼」

 「え、ごめんなさい⁉」

    思わず謝ってしまう雪也。

 「違うの! ゴメン! 話を戻す。…その青年教師は前々から、美少年の生徒

    の事が気になっていたの。でも、青年教師は結婚してたし、自分にはそん

    な趣味は無いと思っていたのね。だけど、その生徒が所属する合気道

    部活の顧問も務めているから、稽古では身体の接触もあるわけで。そこで

    教師は、稽古のたびにその生徒を押し倒したい、と思っている自分に気が

    付いて、悶々と日々を過ごしていたの。そんな時、その生徒の身に不幸な

    出来事が起こった。教師は直ぐに生徒の下に駆けつけたの。 ハァ

    そこには 、目に涙を溜めている美少年が一人ぽつんとしていた。

    教師に気が付いた生徒は、無言で教師の側へと近づくと、ハァ  ハァ

    あー、もう!いけ‼ そこだ‼! 押し倒しながらチューだぁぁ!!!!!

 『大丈夫だ雪也、俺が守る』『竹井先生』唇と唇が離れると、二人はそれ

    だけ言葉を交わし、部屋の明かりを消した。ヨッシャー!」

 「おい! 妄想で俺の体を弄ぶのヤメロ!」 

 (薫が腐女子だったの忘れてた)

 「あれ? 愛の告白どこいった? てか、場所移動したぞ。あと、雑すぎ」

 (そういやコイツ腐女子だったっけ)

 「新婚生活に波風立てるのヤメてくれ。俺嫁ちゃん一筋だから」

 (俺の生徒腐女子だったのか)

    男三人から、非難のコメントとツッコミが入る。

    いつから聞いていたのか、担任の先生が涙目になっていた。