小説

雪也と相馬

金曜日の朝六時、雪也は家政婦の とわ子さんと共に、藤堂家のキッチンに 立っていた。 前に住んでいたアパートと違って、藤堂家から学校まで距離があり、自転 車でも六時三十分くらいには家を出ないと、部活の朝練に間に合わない からだ。 とわ子さんは、一…

雪也 月也 薫~5

三分後、薫の脳内羞恥プレイから解放された雪也が、無事生還。 尚、竹井先生に至っては、まだ回復の兆しが見えないもよう。 それもそのはず、普段から薫のBL話や薄い本の強制読書を強いられ、免疫 のある雪也でさえ、耐え難い事だったのに、普通の一般人に…

雪也 月也 薫~4

雪也に叩かれた薫は、不満気に言う。 「雪ちゃんヒドい!」 「酷いのはどっちだ。勝手に人をホモにすんな!」 「ホモではなく、ボーイズ ラブ です♡」 「ヤッてることは同じだろうが」 「雪ちゃん、キレイな顔で下品な…、私の中での雪ちゃんは『受け』一択…

雪也 月也 薫~3

雪也と月也、そして薫の三人は、担任の竹井を一斉に見た。 「先生! いつの間に…てか、どこから聞いていたんですか?」 自分のBL妄想全開しているところを、見られた薫は、驚いて聞いた。 竹井先生は、少し答えずらそうに、答えた。 「…その青年教師は前々…

雪也 月也 薫~2

放課後、雪也と月也、薫の三人はまだ教室にいた。 担任の竹井先生から、話があるから、と言われたからだ。とはいえ、残る ように言われたのは雪也だけだったのだが、他の二人も雪也を心配して 一緒に残ってくれていた。 「先生、雪也に話って何かな?」 月…

雪也 月也 薫

始業式が終わり、皆それぞれの教室へと向かう。 雪也も今日から中学三年生になった。とはいっても、雪也の学校では、 二年から三年になる時はクラス替えがないので、三年生の生徒達は他の 学年に比べ、何となくダラけた印象を受ける。 教室に入り、空いてい…

藤堂家の雪也

藤堂の邸に移って約一ヶ月が過ぎた。 しかし、雪也にとって藤堂邸は、お世辞にも『居心地のいい場所』とは言 えなかった。 それもそのはず、藤堂の妻と娘から見て、雪也は『愛人の子』だ。 つまり、厄介者でしかない。 非難や罵声を浴びせられることはなか…

母の死~3

四月上旬、雪也は藤堂家にいた。 『また来る』その言葉通り、三日後に藤堂は、雪也の前に現れた。 ただ、先日とは大分様子が違っていた。 藤堂が引き連れて来たのは、役所や学校関係者、母の会社の人達、専門 業者だった。 何故彼等なのかというと、雪也を…

母の死~2

『雪也、君は私の子だ』 「……は?」 突然、予期せぬ言葉を投げかけられ、雪也は一瞬固まった。 それもその筈。母から聞いた話では、父親は、自分がまだお腹の中にいる 時に、事故死したと聞いていたからだ。 「あの、何かの間違いではありませんか? 俺の父…

母との別れ

自分を慈しんでくれた、最愛の母が逝ってしまった。 雪也14歳、2月もあと5日を残すのみとなった日の事だった。 1年のうちで、最も寒い月にも関わらず、その日はもう春を思わせる ような暖かさだ。 まるで、雪也がこれ以上辛い思いをしないようにと、母自身…

はじめまして

ブログをはじめました! コメント大歓迎です。 これからどうぞよろしくお願いします! ちょっと小説みたいな感じで行こうかなと思います。