夕食後の応接間。藤堂と荘子、雪也の三人で、給食費について話し合う 事になった。 お金の出費に関しては、雪也の想像した通り“保護者の義務”を持ち出して きたが、ここで引き下がる訳にはいかないので、正直に話した。 “義務”など感じて貰いたくない事と、…
金曜日の朝六時、雪也は家政婦の とわ子さんと共に、藤堂家のキッチンに 立っていた。 前に住んでいたアパートと違って、藤堂家から学校まで距離があり、自転 車でも六時三十分くらいには家を出ないと、部活の朝練に間に合わない からだ。 とわ子さんは、一…
三分後、薫の脳内羞恥プレイから解放された雪也が、無事生還。 尚、竹井先生に至っては、まだ回復の兆しが見えないもよう。 それもそのはず、普段から薫のBL話や薄い本の強制読書を強いられ、免疫 のある雪也でさえ、耐え難い事だったのに、普通の一般人に…
雪也に叩かれた薫は、不満気に言う。 「雪ちゃんヒドい!」 「酷いのはどっちだ。勝手に人をホモにすんな!」 「ホモではなく、ボーイズ ラブ です♡」 「ヤッてることは同じだろうが」 「雪ちゃん、キレイな顔で下品な…、私の中での雪ちゃんは『受け』一択…
雪也と月也、そして薫の三人は、担任の竹井を一斉に見た。 「先生! いつの間に…てか、どこから聞いていたんですか?」 自分のBL妄想全開しているところを、見られた薫は、驚いて聞いた。 竹井先生は、少し答えずらそうに、答えた。 「…その青年教師は前々…
放課後、雪也と月也、薫の三人はまだ教室にいた。 担任の竹井先生から、話があるから、と言われたからだ。とはいえ、残る ように言われたのは雪也だけだったのだが、他の二人も雪也を心配して 一緒に残ってくれていた。 「先生、雪也に話って何かな?」 月…
始業式が終わり、皆それぞれの教室へと向かう。 雪也も今日から中学三年生になった。とはいっても、雪也の学校では、 二年から三年になる時はクラス替えがないので、三年生の生徒達は他の 学年に比べ、何となくダラけた印象を受ける。 教室に入り、空いてい…
藤堂の邸に移って約一ヶ月が過ぎた。 しかし、雪也にとって藤堂邸は、お世辞にも『居心地のいい場所』とは言 えなかった。 それもそのはず、藤堂の妻と娘から見て、雪也は『愛人の子』だ。 つまり、厄介者でしかない。 非難や罵声を浴びせられることはなか…
四月上旬、雪也は藤堂家にいた。 『また来る』その言葉通り、三日後に藤堂は、雪也の前に現れた。 ただ、先日とは大分様子が違っていた。 藤堂が引き連れて来たのは、役所や学校関係者、母の会社の人達、専門 業者だった。 何故彼等なのかというと、雪也を…
『雪也、君は私の子だ』 「……は?」 突然、予期せぬ言葉を投げかけられ、雪也は一瞬固まった。 それもその筈。母から聞いた話では、父親は、自分がまだお腹の中にいる 時に、事故死したと聞いていたからだ。 「あの、何かの間違いではありませんか? 俺の父…
自分を慈しんでくれた、最愛の母が逝ってしまった。 雪也14歳、2月もあと5日を残すのみとなった日の事だった。 1年のうちで、最も寒い月にも関わらず、その日はもう春を思わせる ような暖かさだ。 まるで、雪也がこれ以上辛い思いをしないようにと、母自身…
ブログをはじめました! コメント大歓迎です。 これからどうぞよろしくお願いします! ちょっと小説みたいな感じで行こうかなと思います。